[刃物鍛冶]武田松水(たけだ しょうすい)さん
1957年生まれ。古式製鉄「たたら」のふるさとである中国山地、岡山県新見市にある創業80年の武田刃物工場代表取締役。大学を卒業後、手打ち鍛冶の伝統技術を土台に、「青紙スーパー鋼」* を使った最高ランクの切れ味と耐久性を持つ包丁や、小刀、ナイフ、折りたたみナイフなどを製作。海外からも注目を浴び、その品質の高さに米、加、仏、伊、独をはじめとする世界諸国から注文が殺到。信頼と人気を誇る「TAKEDA HAMONO」のブランドを確立。日本の包丁人気を牽引(けんいん)する存在で、包丁は常に予約待ちの状態。
「武田刃物」の薄刃タイプの包丁は、とても軽くて驚くほどよく切れます。
火造り、鍛造の様子。炉の熱で鋼材を熱し、ハンマーで叩いて形を整えながら薄くしていく。文字通り、「鍛える」ことで金属の体質改善をする
モノとモノの間を切り裂くには、刃は薄い方がいいんです。包丁の厚みは重さを生んでしまうことになります。肉や魚の骨を切るためとか、丈夫さを出すための厚刃タイプの包丁やナイフには重みが不可欠ですが、それ以外は薄い方が絶対によく切れます。
鑿(のみ)や鉋(かんな)の名工、千代鶴是秀(ちよづるこれひで)さんは、「刃は薄ければ薄いほどよく切れる。何もないのが、いちばん良く切れる」と言っていたそうです。
うちの刃物は1本1本手作りなのですが、ついつい自分の中の「もっと薄くしたい」という欲求に駆られて、叩(たた)き過ぎて割れたり、失敗することがあります。
刃物を作るには、金属材料を焼いては叩き、焼いては叩きを繰り返し、鍛造をして、そこから焼き鈍し(やきなまし)、焼き入れ、焼き戻しといった熱処理を施します。
その間にもグラインダーで粗削り、土付け、ゆがみ取り、粗研ぎ、など、いくつもの工程があります。もとの材料も大切ですが、刃物の組織を作る厳密な温度管理や一つひとつの精緻(せいち)な作業が結果に出ます。
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